ひきこもり女学生の脳内断面図
言うまでもなく今の私の瞳の奥には、二重になったハートがある。
ここで主張したいのは、ただのハートではなく「二重の」ハートであるという点についてだ。
そのまま裸眼の加藤先生(スーパーのお兄さん)を熱く抱きしめてしまいたいが、ここは公衆の面前。
そんなイヤラシイことをするなんて到底許されないと悟った私は、とっさにいい子ぶった演技を始める。
「あっ、は。こ、コンタクト・・・ないんですか。さっ探しましょうか・・・ハイハイ!」
むちゃくちゃな妄想を抑えた後の発言は、より一層奇人に奇人のベールをかぶせる効果があるらしい。
そんな私の挙動不審な様子に一瞬驚いたような彼だったが、
「ありがとう。助かるよ」
片目を閉じたままの顔で、私にほほ笑んだのだ。