ひきこもり女学生の脳内断面図
大人にとって・・・大人に限らず、恋愛経験者にとっては、キスなんて特別なことでも何でもない。
そうなのかもしれない、と私は帰り道の電車の中で思う。
外国ではあいさつ代わりにキス、なんてよく聞く話ではある。特別なことではないのは確かである。
あの後何事もなかったかのように先生は授業に移り、私も何事もなかったかのようにあの出来事を黙認した。
きっと先生は私に特別な感情などない。そんなことは妄想奇人、自分の立場はある程度わきまえている。
先生の口の感触が今でも残っている気がするが、そんなことより・・・
平然とされるがままにされてしまった自分が、どこか悲しかった。
そうして、はっきり恋愛感情のない私にキスをした先生に対し、少しの嫌悪感が残ってしまった。
今日は電車の車窓に目もくれる余裕もない。電車はただただ禿げた雑木林の中を抜けて、下町へと向かって行った。