ひきこもり女学生の脳内断面図




雑貨屋に来た理由。



それは言うまでもなく、私の愛を包む可愛い包装を選ぶため。




余談だが、私にとってはバレンタインとはチョコレートの味より、むしろ包装紙に命をかけているのだ。




私は幾多の包装用ラッピングの前で、ほげほげと悪い頭を悩ませていた。



むしろ、こっちに費やす時間のほうが長いかもしれない。




ちょっと地味な、大人の相手をイメージしたような茶色い箱が言う。




「僕にしなよ。僕を選べば、すんなり加藤先生と両想い間違いなし!」




「え?そうかしら・・・どれどれ」



間抜けな私は、ラッピングの声に誘われ、ぬうっと手を伸ばす。






「馬鹿野郎!よそ者が首を突っ込むな!ここは俺様のような王道ラブリーピンクで、加藤先生のハートを独り占めさ!」





「ピンクかぁ・・・でも、加藤先生には可愛すぎやしないかい?一応、彼は中年男性・・・」





「馬鹿野郎!愛に可愛すぎもオヤジも何もあるか!」







その横にあったピンク色のいかにもおとめチックな箱が、またも私に突っかかってくる。




意外と乱暴な性格のようだ。





白いリボンからは想像もできない暴れよう。











< 225 / 303 >

この作品をシェア

pagetop