ひきこもり女学生の脳内断面図
雑貨屋に来た理由。
それは言うまでもなく、私の愛を包む可愛い包装を選ぶため。
余談だが、私にとってはバレンタインとはチョコレートの味より、むしろ包装紙に命をかけているのだ。
私は幾多の包装用ラッピングの前で、ほげほげと悪い頭を悩ませていた。
むしろ、こっちに費やす時間のほうが長いかもしれない。
ちょっと地味な、大人の相手をイメージしたような茶色い箱が言う。
「僕にしなよ。僕を選べば、すんなり加藤先生と両想い間違いなし!」
「え?そうかしら・・・どれどれ」
間抜けな私は、ラッピングの声に誘われ、ぬうっと手を伸ばす。
「馬鹿野郎!よそ者が首を突っ込むな!ここは俺様のような王道ラブリーピンクで、加藤先生のハートを独り占めさ!」
「ピンクかぁ・・・でも、加藤先生には可愛すぎやしないかい?一応、彼は中年男性・・・」
「馬鹿野郎!愛に可愛すぎもオヤジも何もあるか!」
その横にあったピンク色のいかにもおとめチックな箱が、またも私に突っかかってくる。
意外と乱暴な性格のようだ。
白いリボンからは想像もできない暴れよう。