ひきこもり女学生の脳内断面図




『一体どうすりゃいいのさ・・・』





キチガイの耳には、無生物の声の周波数が届くらしい。





「俺にしろ」



「いいや、僕だね」




「私を使えばうまくいきますよ」




「何言ってんだ、こっちに決まってるだろう」






私がもうダメかもしれないと思うくらい、ラッピングたちに圧倒されていた時。





「馬鹿だねアンタたちは!イメージ考慮しなきゃ何事もうまくいかないのよ。加藤先生と言ったら、この私!赤い箱に白リボンに決まってるじゃない!」




ものすごい勢いで、真っ赤な箱は私に訴えかけてきた。




『ほぉ・・・イメージか。うむうむ、確かに加藤先生はいつも赤いバインダー持ってるよねえ』




私の心は、その赤い箱に奪われた。




「よし、決めた!」





私は幾多のラッピングたちの中から、赤に白くて大きなリボンのついた箱を取り上げた。





「ああ、そんなぁ!僕が選ばれるはずだったのに!」





「王道ラブリーが破れるとは・・・後悔しても知らんぞ!」





「ほいほい、あんたたちはほかの人に買われて幸せになりなさいな」





選ばれなかったラッピングたちの悲痛な叫びを適当にかわした私は、そのまま橋本さんたちの分のラッピングをこれまた適当に買うと、店を後にした。






< 226 / 303 >

この作品をシェア

pagetop