ひきこもり女学生の脳内断面図
『おおお!』
見事に箱詰めにされ、出来上がったチョコ。
鼻の下を伸ばした私は、女子高生らしからぬ卑猥な声を漏らす。
もしこのチョコを先生が受け取ってくれたら、チョコの代わりに私が溶けて差し上げよう。
果たしてこんな調子で、本人の前で冷静に渡せるかどうか、非常に危うい。
そうして私は、橋本さんやあわよくばジローの分のチョコトリュフのテンパリングをしていた。
「ただいま。あれ、なーにしてんの」
「あ、お母さん!お帰り。見ての通りのチョコ作り」
「へぇー。ずいぶん大変そうね。腕、疲れるんじゃない?」
意外なところで帰宅したお母さんは、テンパリングに必死な私に声をかけた。
そうし例の加藤先生への赤いラッピングのチョコを見ると、じっとわたしを見つめた。