ひきこもり女学生の脳内断面図
「そのチョコ・・・」
ギクリ。
「え・・・なに?」
あからさまに警戒心MAXな顔をして見せた私に、お母さんは軽く笑い飛ばした。
「誰も食べないから大丈夫よ。それにしても、そんな可愛いチョコをもらえる相手はさぞ嬉しいだろうね」
「ホント!?喜んでくれるかなぁ・・・」
「ほんとほんと。きっと、喜んでくれるわよ。喜ばなかったら母さんが相手の所に行って殴ってやってもいいわ」
お母さんは嬉しそうに言うと、荷物を置いてリビングを出ていった。
多分お姉ちゃんのバイオレントな性格は、母親譲りに違いない。
私はお母さんの言葉に多少背筋を凍らせながら、一人で引きつり笑いを浮かべていた。
加藤先生は、喜んでくれるだろうか?
こんな私のチョコを「ありがとう」って受け取ってくれるだろうか?
いつものあの、やわらかい笑顔で。