ひきこもり女学生の脳内断面図
先ほどまでの最悪な気分は、どこかへ飛んで行った。
右半分が未だ引きつる陰気な顔も、常人レベルへと回復してくる。
『お疲れさん、気をつけて帰るんだよ』
先生の美声が、とうとう私の脳内に巣くう始末。
遠ざかる先生の後ろ姿を、私は見えなくなるまで見つめていた。
「かっこいい・・・」
そう。自分の気持ちが口から出ているなんてことを知らずに。
後ろ姿まで愛される加藤先生は、果たして幸せなのだろうか。
そんなことは本人に聞いてみなければわからない・・・