ひきこもり女学生の脳内断面図
加藤先生の言ってた通り、森先生の授業はとてもわかりやすくて楽しい。
あの日、森先生の後押しがなければ、あんなふうに想いを告げられなかったかもしれない。
感謝の気持ちこそあるが・・・ある問題が浮上している。
授業の合間に加藤先生の話題になった時のこと。
「私のスリーサイズ測ったの、フェイクだったんでしょ。私は替え玉で加藤先生だけが目当てだったって・・・先生に聞いたよ」
「え!?いやぁ、そんなことは・・・ありますけど」
「あるのか。替え玉か。加藤先生のことを好きになったなら、同じ中年の私を好きになることは今後ありそう?」
「・・・」
こんな話が時折上がるものだから、私も油断していられないのだ。
そんなことを思いながらぼんやりと池の水面を眺めてる私の肩に、何かが触れた。
振り返った先には、待ち合わせていた人物の姿があった。
「待たせたな。いつ来た?」
「5分くらい前かな・・・全然待ってないから、大丈夫だよ」
「お前・・・・今日もセーラー服か。変なのに連れてかれるなよ。まぁこっちとしては見つけやすいからいいんだけど・・・」
「けどなに?」
私がそう聞き返すと、恥ずかしそうに私から目をそらしてこう言った。
「連れていかれて困るのはこっちなんだよ」
今日待ち合わせをしている人物とは、あまりにも意外な人物であろう。
「その辺少し見て回るか。あっちのほうの桜、満開できれいだから」
「うん!」
私は彼の横に並んで、ゆっくり歩き始めた。