ひきこもり女学生の脳内断面図
約半年にわたる私の妄想恋愛は地下鉄の四ツ谷駅付近でついに幕を下ろした。
涙をぬぐいきった私は、そのままJRの六ツ谷駅まで早足で歩く。
なんだか足が歩いているのか、よろけているのか、定かではない。
恋が散った今、先生がいなくなった今、全てが幻想だったのか、夢だったのか。そう思ってしまう。
そんな自己疑念を消し、この恋が現実のれっきとした恋愛であったことを示す、一つの証拠。
私はさっき先生にもらった包みを、歩きながらリュックから取り出した。
何が入っているんだろう・・・そのとき、ふっと街灯に照らされて、少しだけ中身が見えた。
透明のセロファンで包まれているのは、パステルカラーのキャンディーだった。
どんな思いで選んでくれたのかわからないけど、先生の笑った顔が頭をよぎった。
「先生・・・」
思い出せば思い出すほど、会いたくて仕方なくなるから、恋は甘くて酸っぱいのだ。