ひきこもり女学生の脳内断面図












「おい」







ここは六ツ谷駅周辺。誰かの口から発せられた「お」と「い」の文字が、涙でいっぱいの私を現実に引っ張り戻した。









こんなところで声をかけるなんて、どこの呆れた欲求不満野郎だ。








無視して歩こうと思った私に、その男は背後からつけてきたのだろう。












「おい、待てよ春川」









「春川・・・んんん?だれ?」







なぜ私の名前を知っているのだ。







振り返った私は、どこにでもいるナンパ野郎と間違えたことを、深く謝罪した。








「ジロー・・・あれこんなところで、なにしてるの?」









そこにはいつぞやの悪魔の八つ当たり浪人生がいたのだ。

















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