ひきこもり女学生の脳内断面図
「バサバサバサッ」
紙束のようなものが床に落ちる音が、私の後方から唐突に聞こえてくる。
どこの間抜けがよそ見でもして参考書でも落としたのかと思った私は、拾ってやってもいい気持ちを込めて3分の1くらい振り返った。
「・・・?」
私が振り返った先には、若い男が魂でも抜かれたような顔をして呆然と突っ立っていた。
「どん」と両手で軽く押したらそのままひっくり返ってしまうのではないかと思うくらいの放心ぶりは、ある意味見事である。
凍りついた顔は、どこか蒼白い。男のくせに低血圧なのか、それとも貧血なのか。
余談だが私も何度か貧血で倒れたことがある。本当に余談だが。