ひきこもり女学生の脳内断面図
駅前で多くの人々が行きかう中、私ははっきりとジローの姿をとらえた。
呆れた欲求不満野郎などではなく、正真正銘、あの北條傑だった。
「ごめん・・・変な人かと思った。この格好だと、変な人がよく声かけてきて」
「悪いな。お前に話したいことがあって、あとつけさせてもらった」
「え、あとをつけてきたってことは・・・もしかして見てた?さっきの」
難しい顔をした私に、ジローは申し訳なさそうに言った。
「あ、加藤先生とお前の間の話を聞くつもりはなかったんだ。それに・・・遠くからで何を話しているかよくわからなかったし」
言われてみれば周りの雑音でうるさい中だったし、確かに話してる内容まではわかるはずもない。
「やっぱ元気ねえな。ちょっとそこの公園でも寄ってかないか」
このあと特に予定もないし、ジローと話でもすれば今のこの気持ちが晴れるかもしれない。
「うん・・・いいよ!」
私は、うなずいてジローの後に続いた。