ひきこもり女学生の脳内断面図












結局、どんなに好きになっても結ばれない人と言うのは確かにいる。











私と加藤先生も、きっと最初から両想いになれないことが決まっていたのだろう。











私の初恋は、形だけ見たら実らなかったことになるのだが。











けれど私は現実に、加藤先生を好きになったおかげで、たくさんの「奇跡」に出会えた。











「両想いだけが成就じゃない」











音だけで聞いたら、悲しく聞こえるかもしれない。










でも今の私は、その言葉の「ほんとうの意味」を知ることができたのかもしれない。









「大切な人はすぐそばにいる」とはよく言ったものだと思う。









そんなことを思いながらジローの横顔を眺める私に、不機嫌そうに眉をしかめた彼は言った。












「なんだよ、じろじろ見やがって」








「ううん、なんでもない」










その目元は出会った頃より、優しくなった感じがした。





















< 283 / 303 >

この作品をシェア

pagetop