ひきこもり女学生の脳内断面図
結局、どんなに好きになっても結ばれない人と言うのは確かにいる。
私と加藤先生も、きっと最初から両想いになれないことが決まっていたのだろう。
私の初恋は、形だけ見たら実らなかったことになるのだが。
けれど私は現実に、加藤先生を好きになったおかげで、たくさんの「奇跡」に出会えた。
「両想いだけが成就じゃない」
音だけで聞いたら、悲しく聞こえるかもしれない。
でも今の私は、その言葉の「ほんとうの意味」を知ることができたのかもしれない。
「大切な人はすぐそばにいる」とはよく言ったものだと思う。
そんなことを思いながらジローの横顔を眺める私に、不機嫌そうに眉をしかめた彼は言った。
「なんだよ、じろじろ見やがって」
「ううん、なんでもない」
その目元は出会った頃より、優しくなった感じがした。