ひきこもり女学生の脳内断面図










「前に俺と仲のいい奴がいたんすけど・・・突然沼袋校に転勤することになって」









「へえ。私と入れ違いで異動した方がいらっしゃったんですか」








「それでどうも噂になってるんっすよ。今年新人で来た春川さんは、本当は沼袋校に勤務が決まったはずなのに、誰か上の方の人が春川さんのことを意図的にこの久更津に回したんじゃないかって。春川さん回すために、そいつが飛ばされたんじゃないかって」









その推測は、あまりにも見事なものだった。感心した私はこくこくとうなずく。








「それが本当だとしたら・・・何ででしょうねえ。私なんて何のとりえもないのに」








相変わらず能天気な答えを返すことは、あの頃と変わりない。








そんな私の台詞を打ち消すように、








「いや、そんなことないっすよ。もしかしたら別の理由があるかもしれないし・・・飛ばされた奴も飛ばされた奴で、都心勤めだって喜んでましたから」









かなり苦しそうな顔で、彼はそう言った。
















< 295 / 303 >

この作品をシェア

pagetop