ひきこもり女学生の脳内断面図
加藤先生にそっくりなスーパーのお兄さん
私は今日も、帰り道の商店街を歩く。
「加藤先生だろ、お前の好きな人」
さっきのジローの声が、頭の中に響く。悪気がないのはわかるが、あれからなぜだか気分がおかしい。
まるで自分が今まで大切に気づいてきたお城の中を、誰かに覗かれたような。言い表しようのない気持である。
私は無意識のうちに、生鮮食品スーパーのドアを押していた。馴染みのスーパーではあるが、なぜか照明が暗く感じる。
私は行くあてもなくスーパーの中をさまよっていた。もちろん何か買うつもりなどない。
財布には残金21円、スイカにも残額10円という悲惨な経済状況。
ぎりぎりうまい棒2本買えるが、そんなんではいつか餓死してしまうだろう。
恋する乙女も、財布は貧しいのだ。