ひきこもり女学生の脳内断面図
「瓜二つ」という言葉は、加藤先生とこの男性のためにあるのではないか。
確かに、世の中には自分にそっくりな人間が3人はいる、と聞いたことはあった。
それにしてもこのめぐり合わせは、あまりにも衝撃的過ぎではないか。
その驚きようは、ある日突然、自分が異性になってしまったような感覚である。
私同様、目を大きく開いてびっくりしている彼。
彼のほうがなぜ驚いているのか。そんなこと、今の私にとっては正直どうでもいい。
「あ、ごめんね。じろじろ見ちゃって」
「いや、私のほうこそスミマセン。じろじろ見ちゃって・・・」
彼が返した言葉を、そっくり返す以外思いつかなかった。
声も、顔立ちも、体型も。
何もかもが加藤先生にそっくりなこの男性は、いったい何者なのか。
知らずにはいられないのが、恋する乙女の好奇心だ。
赤いポロシャツに、紺色のエプロンが実にまぶしい。