ひきこもり女学生の脳内断面図
彼は黙ったまま私の横に来て、値札の取り換えを行っている。慣れた手つきに思わずくぎ付けになる私。そうとう経験があるに違いない。
「このプリンもう賞味期限近いからね。よーし、20円値引きしといてあげるよ」
「え・・・あ・・・」
ありがたいことに、彼はプリンに値引きシールを貼ってくれたのだが。
予算21円じゃ、到底かなわない。私は少し恥ずかしくなって、顔に熱がこもる。
「・・・どしたの?もう1枚、貼ってあげようか」
そんな私の顔色をうかがった彼は、機械からさらにシールを一枚出す。
彼の好意に、これ以上嘘はつけない。
「えーと・・・私、21円しか持ってなくて。す、すみません・・・」
「そ・・・そっかそっか!なんかこっちこそごめんね、催促したみたいで」
所持金21円など私にとっては笑いごとではないのだが。
さすがの彼も、気まずそうに笑っていた。