ひきこもり女学生の脳内断面図
「それはそうと、よく来てくれるでしょ。ここのスーパー」
彼に言われて、私は驚いて答えた。
「はい。おうちがこの辺にあるから・・・私のこと知ってたんですか」
「うん。すごく髪が長いから覚えてたよ。今度来た時に、またシール貼ってあげるからおいで」
予想外にも、彼は私のことを知っていたようだった。単に怠慢だったおかげで伸びた髪も、こんな役立ち方をするのか。あっぱれである。
そうして妙に納得した私は、改めて彼の顔を見つめた。
本当に、よく似ている。似すぎていて、彼に惚れてしまいそうだ。
「ね、約束だよ」
「・・・」
にこっと笑った彼は、私の前に右手の小指を差し出して言った。
この私に、指切りを迫るのかこの男は。妄想に巻き込まれて苦しんでも知らないぞ、と言ってやりたいほどの見事ななれなれしさ。
「・・・」
私は黙ったまま、彼の小指に自分の小指を絡ませた。