ひきこもり女学生の脳内断面図

あの日の出来事は、いったいなんだったのか。





加藤先生にそっくりな、スーパーの店員との一夜。






改めてボコっと自分の顔を殴ってみるが、じんじんと痛みで顔がゆがむだけ。






鏡を覗いてみるが、いつも通りのにやけた顔に、殴った衝撃で歪みが加わっているだけだった。






どうやらここは夢の中ではなく、現実の世界らしい。






再認識をした私は、「おふっ」とその場で笑い声を洩らす。





無論、ひきこもりなだけに室内は私一人だ。






一夜などという表記からはかけ離れて、平凡なひと時ではあったのだが。






その日のことを思い出しては、その場でもぞもぞと奇妙な動きを繰り返す私。





やはり、私＝キチガイという公式はまだまだ消えてくれそうにない。





彼は加藤先生とは別人だと言うことは、わかっている。





けれどあの日絡ませた小指の感覚が、今も私をかき乱しては仕方ない。






あれは、夢だったのか。






加藤先生より、彼のことが気になってしまっている私。





あの時の警告通り、彼は見事に私の妄想の餌食にされてしまっていた。






そうして私は、あの日の出来事の真意を確かめるべく、駆け足でスーパーに向かった。





垂らしたよだれはもちろん隠して、だ。






私の妄想癖などをを知るのは、ジロー一人で十分なのだ。