ひきこもり女学生の脳内断面図
「じゃ、約束通り。内緒だからね、店長にばれたら怒られるから」
「わぁい!ありがとうございます」
彼は私の手からさっとホットケーキミックスの袋を取り上げると、慣れた手つきで機械からシールを一枚貼ってくれた。
金欠乙女に、20円引きはありがたい。
「今日はこの時間にいらっしゃるんですか?」
私の問いに、彼はこう答えた。
「今日はヘルプでこの時間なんだ。今日だったら大学の講義も休みだからね」
大学生。どおりで若いわけだ。
そう言いながら、彼は私にホットケーキミックスの袋を渡して、にっこりとほほ笑んだ。
「よかったよ、また来てくれて。おいしく作れるといいね」
そんな彼の言葉は、まるで加藤先生本人が言っているかのようなリアルさだ。
外見の威力というのもまた、すさまじく現実を狂わせる。
真っ赤になった顔を見せたくない私は、自分のつま先をしばらく見つめていた。