ひきこもり女学生の脳内断面図
それから1時間ほどして髪の毛を乾かし終わった私は、ドライヤーのコンセントを引っこ抜く。
ざーっとブラシで長い髪をとかし、そのままリビングを出た。
何も気づかない私の後ろ姿を、例の二人は意味深な視線で見送る。
パタン。
リビングのドアが閉まり、私の姿は完全に二人の視界から消え失せた頃。
母のため息が室内にこもるように響く。
「はぁ・・・アイの言ってたこと、本当みたいね。火曜日と木曜日は異様に機嫌いいみたいだし」
因みに「アイ」と言うのは姉の名である。感じ表記はそのまま「愛」。
「あたしもまさかとは思ったけどな。でも母さんもわかったろ、アイツの気持ち」
「まあね。あの子が元気なのが一番だけど・・・」
母はさらに深いため息をついた。
「まさかアキが加藤先生のことを好きだなんてね・・・信じられないわ。「この人を好きになっちゃいけない」なんて言うつもりはないけど」
「ま、そうだよな」
そんな母の様子を、姉は横で頬杖をつきながらしらけた目で見つめていた。