ひきこもり女学生の脳内断面図
お母さんの浮気疑惑
母と姉に自分の恋心がばれていることなど知らないのんきな私。
もう何回、脳内の加藤先生の笑顔に癒されたか、数えきれない。
そんな私は今、授業中である。愛しい愛しい、加藤先生との大切な時間。
教室の一つひとつに仕切りがついてはいるが、目に映るのは加藤先生の立派なお姿。
それだけでも私にとっては、天国にいるかのごとく幸せなのだ。
この幸せが、永遠に続いてほしい。
そんなことを思い浮かべながら、私は大嫌いな日本史のテキストに目もくれずにいた。
加藤先生の存在は愛おしいが、日本史は憎らしい。
だらだらだらだら、くどくどくどくど。テキスト上の文字が、耳障りな効果音を発する。
難しい漢字やら意味不明な解説の文字で真っ黒!と思うほどめまいがするような紙面。だから日本史は嫌いなのだ。
適当に参考書から答えを引っ張り出した私は、乱雑極まりない文字でノートに書く。
そうしてほかの生徒の指導をしている先生の声に耳を研ぎ澄ませながら、今日も愛は培われていくのだ。
正しくは「一方的な愛」である。