優しい嘘つき
「―――…衣…唯衣!」

名前を呼ばれ、眠りから覚めたあたしはすっきりしていた。

「唯衣、大丈夫?帰れる?」

そう言われて時計を見ると、もう放課後だということが分かった。

保健室には夕陽が差し込み、部活動生の声も聞こえる。

「うん。もう大丈夫。心配かけてごめんね」

「ちゃんと寝て、体調管理しないとだめだよ?」

「うん。さっきは夢で悠ちゃんの声が聞こえたおかげで、久しぶりにぐっすり寝れたよ」

「西嶋君の?…まぁ、寝れたなら良かった。帰ろっか」

「うん!」

「そう言えば、荻野君が心配してたわよ」

「そうなんだ?じゃあ明日誠に言わなきゃ」

「そうしな。それと、唯衣を保健室に連れて行ったのは…西嶋君だよ」
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