優しい嘘つき
「お待たせ。ほらよ。」

「ありがとう!誠は何にしたの?」

「俺は人気No.2のやつ」

「そうなんだ!そっちも美味しそう!いいなぁ~」

と言いながら誠のたこ焼きを見るあたしの視線に気づいた誠が

「食べる?」

って聞いてきたから、あたしはすぐに答えた

「食べる!」

「じゃあ、あ~ん。」

そう言ってあたしにたこ焼きを近づけてくる。

「え!?」

(ど、どうすればいいの~!?)

1人で焦っていると

「いらないの?」

誠が意地悪な笑みを浮かべている。

食い意地が張っているあたしは

「食べる!」

と言って、思い切りたこ焼きを口に入れた。

「熱っ!」

「ばぁか。1口で食べるからだろ」

「うぅ~」

と涙目になっているあたしを他所に1人でたこ焼きを食べ続ける誠。

「ちょっと!もう少し心配しなさいよ~!」

と言ってポカポカと誠の肩を叩き、あたし達は2人で騒いでいた。

―――そんな様子を誰かが見ているとも知らずに。
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