カセットテープ
M01
「とうとう、明日だね」
「ん?何が?」
「卒業式」
「そうだっけ?」
「もう…、
自分の卒業式くらい覚えていてよ」
「ごめんごめん。
あんまり、自覚なくてさ」
「練習とかで忙しいのは
分かるけど…」
「いや、まだ3年経ってないような気がしてさ」
「…確かに
あっという間だったね」
「俺らってさ、
同じクラスになったのって、
今年が初めてだろ?
小学校も、中学校も一緒だったのに」
「そっか。
1年しか、同じクラスじゃなかったんだね。
なんか、ずっと一緒にいた気になってた」
「そうだな…、
俺もそんな気がしてた」

堅也は眩しそうに言った。

「…ねぇ」
「ん?」
「私たち、
卒業してもずっと一緒だよね?」
「あ…、うん。
そうだな」
「本当に?」
「どうしたんだよ、急に」
「だって、何か…。
卒業したら堅也の気持ちが…、
離れていっちゃうんじゃないか、って…」
「…はぁ。
何だ、そんなこと気にしてたのか」

全く…、呆れるな。

「そんなことって!」
「俺は、お前以外の奴は好きになんねえし、好きになれねえから」
「え?」
「だから、俺は咲織じゃないとダメなんだよ」
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