ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~


 俺は、いつもより念入りに体を洗って、風呂を出た。


 スウェットを着て部屋に行くと、ちょうどナツも片付けを済ませたところみたいだった。


「あ、旬。出た?」

 ナツは台所から部屋に顔を出して俺に言った。


「ドライヤー、そこに置いておいたから使ってね」


「あ、うん。ありがと」


「じゃ、あたしも入っちゃうね」

 そう言って、ナツは部屋の端にあるチェストから、パジャマと下着らしきものを出して、風呂場へ行った。


 ナツって寝る時、パジャマ派なんだ……

 パンツとか、ブラジャーは下から二番目か……


 ちょっと引き出しを開けてみたい衝動に駆られたけど、そこまでしたら変態だし(否定はしないけど)やめておいた。



 俺はナツが用意しておいてくれたドライヤーで、軽く頭を乾かす。


 あ、そうだ。


 肝心なことを思い出し、俺はドライヤーを止めて、持ってきた鞄をあさる。


 中から出したのは、コンビニの袋。

 さらにその中から取り出したのは、箱入りのコンドーム。


 ナツとの待ち合わせの前にコンビニに行ったのは、これを買うためだ。


 それで近くの棚に歯ブラシがあったから、ついでに買ったというわけだ。



 俺は箱を開けて、考える。


 何枚いるか……


 ちなみにこの箱は十枚入りだ。

 何枚必要になるか、まだ分からない。


 俺的には何回でも大丈夫な気はするけど、さすがに十回もしないだろうし……

 二、三回ぐらいか?いや、でももしかしたら四回かも……


 考えても分からないから、俺はとりあえず五枚を、枕の下に入れておいた。

 あとは、ティッシュとゴミ箱を、さりげなくベッドに近づけておく。


 よし! こんなもんかな。


 俺は、床の準備が整ったことに、一人頷いて満足する。

< 100 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop