ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

「あ……あはっ。聞いてた?」

 俺は笑ってごまかそうとする。


「もう……なんて歌を歌ってんのよ」

 ナツは呆れたように言って、タオルで髪を拭きながら座布団の上に座った。


「ナツのおっぱいが最高ってことを歌った歌」


「そうじゃなくて。……もう。何言ってんのよ」

 ナツは顔を赤くした。

 そして、ドライヤーで髪を乾かし始める。


「めちゃくちゃ誉めてんのに……」


「え? 何?」

 ドライヤーの音で聞こえてなかったみたいで、ナツは聞き返してくる。


「ナツはめちゃくちゃいい女だって誉めたの!」


 俺が言うと、ナツは一瞬キョトンとしてすぐにさっきよりも真っ赤になった。


「なっ……何で旬はそんな恥ずかしいこと言うの!」


「本当のことなんだから、恥ずかしくなんてないよ。あ、ナツ。もしかして照れてる?」


「照れてない!」

 そう言って、ナツは俺に背中を向けた。


 ムキになって……やっぱり照れてる。


 そんなナツの背中を俺は横になってじーっと見ていた。



 ドライヤーの音が止み、ナツはコンセントを抜いて片付け始めた。


「ナツ、終わった?」

 俺は待ってましたと言わんばかりに起き上がった。


「うん」

 ナツは髪をブラシでとかしながら頷いた。


「おいで!」

 俺は両手を広げてナツを待った。


 下心が丸出しだったのは自分でも分かったけど、隠すような余裕なんてなかった。


「……あたし、犬とか猫じゃないのよ」

 口を尖らせながらもナツは俺のそばに寄ってくる。


「犬とか猫より可愛いよ。ナツは」

 俺はナツを抱き締めた。

 ナツはすっぽりと俺の腕の中に収まった。

「もう……また変なこと言う」

 ナツが俺を見上げる。


 その瞬間に、俺はナツの唇にキスをした。

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