ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~


 最後まで終わった後、ナツは俺の腕の中で小さく肩を震わせて、息をしていた。


「ナツ、大丈夫? しんどかった?」

 髪を撫でながら、俺はナツに聞いた。


 ナツは、小さく首を横に振る。


「ううん……大丈夫」


「……じゃあ、気持ちよかった?」

 そう聞くと、ナツの肩の動きが止まった。


「……何でそんな恥ずかしいこと言うのよ」


 ナツは俺の胸に顔を押し付けて小さな声で言った。


 ……何でそんな可愛いことするのよ。


「だって…俺、ナツに気持ちよくなって欲しいから……前の彼氏みたいな風には思ってほしくないし」


 そう言ってナツの背中に手を回そうとしたら、ナツは俺の胸から顔を離して、寝返りをうって俺に背中を向けた。


「え…ナツ?」


「…………」


 もしかして……怒ってる?


 ナツの雰囲気は、そんな感じだった。


「……何で、今そんなこと言うの?」


「え?」


 俺は体を起こして、ナツの顔を覗き込もうとした。


「すごく、いい気分だったのに、思い出しちゃったじゃない」

 俺からは顔を背けるようにして、ナツは言った。


「あ……」


 俺、言っちゃいけないこと言っちゃったんだ……


 いや、普通に考えて、言っちゃダメなことじゃん。元彼のことなんて…

 さっきも話題に出して、すっごい空気変わったってのに……つい元彼のことを意識しすぎちゃって……


「ナツ……ごめんな」

 俺はナツを後ろからぎゅっと抱きしめた。

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