ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

「俺、バカだから、変なことばっか言って……」

 これじゃあ、ナツに最低発言した元彼と、大差ない。


 本当に、最悪だ。


「でも、ナツ。俺、バカだけど……バカだけどさ……絶対、ナツのこと大事にする。ナツのこと振ったりとか、そんなバカなことだけはしないから……」


 俺がナツのことを振るなんて、有り得ない。

 それこそバカだ。


「……もういいよ」

 ナツの手がそっと俺の腕を触った。


「ちょっとだけ、嫌だっただけ……もう大丈夫だから」

 そう言って、ナツはまた寝返りをうって俺の方に向いてくれた。


「ナツ……」

 俺は、今後はちゃんと正面からナツを抱き締めた。

 腕の中に収まるナツの小ささと、柔らかさと、匂いに、俺は幸せを感じた。


 今までナツと付き合って別れた男達は皆バカだ。

 ナツはこんなにもいい女で、こんなにも幸せにしてくれる存在なんだから。





 ふと目を覚ますと体が重い。まぶたも重くて目が開かない。


 あ、そうだ。あの後、二回したんだっけ。


 昨夜の感覚を思い出して、俺は思わずにやけてしまう。

 そして、俺は隣にいるはずのナツを手探りで探し、そばにあった柔らかいものを抱き寄せた。


 それをぎゅっと抱き締めて、違和感に気づいた。


 あれ……?

 ナツにしては、手応えがない……

 それに足の方の感触もない。


 不思議に思って細く目を開けると、俺が抱き締めていたのは、枕だった。


「あれ……?」


 体を起こして見てみると、ベッドの上にはナツがいなかった。


 何? もしかして、今までの全部夢?夢オチなの?


 寝ぼけてそんなことを思いながら俺は部屋を見回す。

 間違いなくナツの部屋だ。絶対あれは夢じゃない。


「ナツー? ……ナーツぅ」

 俺はどこにナツがいるのか、呼んでみた。


 台所の方で音がする。


「旬?」

 やっぱり、台所の方からナツが顔を出した。

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