ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

「旬、起きたの?」

 ナツがこっちの方にやってくる。


「まだ寝てるー」

 俺はもう一度布団に潜って言った。


「起きてるんじゃない」


 ナツが近寄ってくるのが足音と気配で分かった。


「旬ー。そろそろちゃんと起きてー」

 ナツが俺を揺さぶってる。


 何かこれって新婚みたいでいいかも。


「もー……旬ってば……きゃ!?」


 俺はナツの腕を掴んで、布団の中に引っ張り込んだ。


 捕獲完了。


「ちょっと、旬……」


 驚いた様子のナツの唇に、俺は自分の唇を押し当てた。


 ナツの動きがピタリと止まる。


「……おはよ、ナツ。起きるの早いね」

 唇を離して、顔だけ布団から出しながら俺は言った。


「……おはよ。早いって言っても、もう十時過ぎよ。そろそろ起きないと」

 ちょっと顔を赤らめてナツは言った。


「いいじゃん。休みなんだし、ちょっとぐらいゆっくりしても。それよりさ、ナツ」


「何?」


「昨日のこと、覚えてる? また忘れてない?」


 ナツは目を丸くしている。そして更に顔を赤くした。


「おっ……覚えてるに決まってるじゃない! もうっ、旬ってば本当に変なことばっかり言い過ぎ!」


「へへっ……ごめんごめん。でも、よかった」

 ナツがちゃんと覚えててくれて。って言うと、ナツは怒るかな?


 俺は、ぎゅうっとナツを抱き締めた。


 すると、ふわりと甘い匂いがした。

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