ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
「あ、とりあえず上がってよ」

 いつまでもこんなとこで立ち話をしてるのもなんだ。俺は早速ナツを部屋の中に促した。


「じゃあ、お邪魔しま………」

 中に入ったナツは固まった。まるで電池切れのおもちゃのように止まってしまった。


「ナツ?」

 俺はナツに声をかけた。そして、部屋の中を見た。


「あ……」


 俺の部屋は、ナツの部屋と違って、玄関から廊下はなくてすぐに部屋の中が見えるようになっている。


 それを俺は今初めて見て、部屋の状態に気づいた。


 部屋の中は、俺が思った以上に……というか、引っ越してきて二日目だとは思えないほど散らかっていた。


 さっきぶつかったダンボールが倒れまくってるし、昨夜食べたコンビニ弁当の容器はそのままだし、タオルとかスウェットとか探していくつか箱を開けて中身を全部出したものが散らかってるし……とにかく、彼女を部屋に招くという状態ではなかった。


「あ……いやその……昨日あんまり片付ける暇とかなくてさっ……」

 ちょっと引き気味なナツに俺は必死に言い訳した。


 正直、今までの俺の部屋の状態に比べればマシだとは思うけど、初めてでこれはないよな……

 せめて弁当のゴミはちゃんと片付けておくんだった。


「まあ、しょうがないよね。引っ越しって大変だし。片付けるの手伝うね」

 ナツはそう言って靴を脱いで部屋に上がった。


 荷物を台所に置いて、ナツは散らかっている方にやってくる。


「旬。服とかはどこに収納するの?」

 その辺に落ちてた服を拾い集めながらナツは俺に聞いてくる。


「ああ、クローゼットあるし、今まで使ってきたケース持ってきたからそれでいけるかなーって思って」


「そう。じゃあ、とりあえず服から片付けていった方がいいかな」

 ナツは話しながらテキパキと俺の服を畳んでいった。

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