ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
あとちょっと……って時だった。
「旬」
うおっ!?
ナツの顔がいきなり俺の方を向いた。
俺はものすごい勢いで手を引っ込めて、スクリーンの方に向き直った。
「何? どうしたの?」
「いやっ……別に何も……ナツこそどうしたの?」
鎮まれ俺の心臓! 泳ぐな俺の目!
「どうしたのって……映画終わったから……」
「あ……」
ふと気づいたら、いつの間にか、映画は終わって、客がぞろぞろと帰っていくところだった。
「そっか……じゃ、出よっかっ」
俺は慌てまくって、急いで立ち上がった。
「うん」
ナツは不思議そうに首を傾げていたけれど、別に気にしてはいなかったみたいだった。
「面白かったね、映画」
映画館を出た後、ナツは笑顔でそう言った。
「うん。面白かった」
俺もそうやって頷きながらも、最後の方はあまり覚えてなかった。
ていうか、俺のバカヤロー……
何で手ぇ引っ込めたんだよ!? 何でそんなうろたえてんだよ!?
ナツがこっち向いたからって、そのまま手ぇぐらい繋げばよかったのに!
「お腹減ったね。お昼どうする?」
ナツのその声で俺は我に返った。
「あ、うん。どっか店入ろっか」
その時、ふとナツの手を見た。並んで歩いて、俺側にある手を……
いつもは、必ずといっていいほど鞄を持っている。
でも今は、何もなかった。
これはチャンスか!? なかなか手を繋げない俺の為に与えられたチャンスなのか!?
だとしたら、繋ぐしかない!
さっきみたいに無駄に躊躇うな! 一気に行け!
俺は自分に気合いを入れて、手を伸ばした。
「旬」
うおっ!?
ナツの顔がいきなり俺の方を向いた。
俺はものすごい勢いで手を引っ込めて、スクリーンの方に向き直った。
「何? どうしたの?」
「いやっ……別に何も……ナツこそどうしたの?」
鎮まれ俺の心臓! 泳ぐな俺の目!
「どうしたのって……映画終わったから……」
「あ……」
ふと気づいたら、いつの間にか、映画は終わって、客がぞろぞろと帰っていくところだった。
「そっか……じゃ、出よっかっ」
俺は慌てまくって、急いで立ち上がった。
「うん」
ナツは不思議そうに首を傾げていたけれど、別に気にしてはいなかったみたいだった。
「面白かったね、映画」
映画館を出た後、ナツは笑顔でそう言った。
「うん。面白かった」
俺もそうやって頷きながらも、最後の方はあまり覚えてなかった。
ていうか、俺のバカヤロー……
何で手ぇ引っ込めたんだよ!? 何でそんなうろたえてんだよ!?
ナツがこっち向いたからって、そのまま手ぇぐらい繋げばよかったのに!
「お腹減ったね。お昼どうする?」
ナツのその声で俺は我に返った。
「あ、うん。どっか店入ろっか」
その時、ふとナツの手を見た。並んで歩いて、俺側にある手を……
いつもは、必ずといっていいほど鞄を持っている。
でも今は、何もなかった。
これはチャンスか!? なかなか手を繋げない俺の為に与えられたチャンスなのか!?
だとしたら、繋ぐしかない!
さっきみたいに無駄に躊躇うな! 一気に行け!
俺は自分に気合いを入れて、手を伸ばした。