ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

「……旬?」


「へ? 何?」

 ナツの声で俺は我に返った。


「一人暮らしは大丈夫なのって聞いたの。どうしたの? 今日、何かいつもよりも変よ?」

 ナツは首を傾げている。


「え……そんなことないよ。俺はいつも通り……って、ナツ。今さりげなくいつもよりもって言った?」


「うん。だって普段も変だから」

 あっさりと頷かれた。


「あー。ひっでーの。俺のどこが変なんだよー」


「んー……何か色々」


 色々って……流石に傷つくよ、俺だってさ……



「お待たせしました。たらこクリームとツナマヨネーズになります」

 店員が皿を二つ持って俺達のテーブルへやってきた。



 パスタは食べてみると、本当に安いのに美味しかった。俺はナツに言われたことなんてもう気にしてなかった。



「それで、どう? 一人暮らし。旬、また部屋散らかしてない?」


 ナツに言われて、俺はギクッとした。


「……うん。まあ、いつも通り」


「いつも通りってことはいつも通りなのね」

 ナツは呆れた顔で言った。


「いや、俺は散らかしてるつもりはないんだけどさ……何か知らないうちになるっていうか……」


 これは本当にそうだ。散らかそうとしてるわけじゃない。でも不思議なことに、部屋はどんどん汚れていく。


「旬はね、習慣がないのよ。ゴミはゴミ箱、出したものは入ってたところにしまうっていう」


「あ、そうか」

 だから俺の部屋は、いつも散らかるのか。なるほど。目からウロコだ。


「そうかって……納得してる場合じゃないでしょ?」


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