ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
そうやって何だかんだと話して、三十分ほど経った時……
「そろそろ出ようか」
ナツが時間を見てそう言った。
「ああ、うん」
俺は頷いて椅子から立ち上がった。
あ、そうだ。伝票……
思い出してそれを取ろうとした。でも、テーブルの上にはもうすでになかった。
「あ……」
ナツがいつの間にか伝票を持ってレジへと向かっていた。
行動早いよ、ナツ。
俺は急いでナツを追いかけた。
「千三百三十円になります」
店員がそう言って、ナツは鞄から財布を出そうとする。
「俺が払う」
ギリギリで言うと、ナツは俺を振り返った。
「いいよ、これくらいだし」
しかしナツはそう言って、財布を出そうとする。
いつもそうだ。俺が出すって言ってもさっさと出してしまう。
でも、今日はそうはさせない!
「これくらいだから俺が全部払う」
俺はナツの手を押さえた。
「いいってば。旬、お金ないんでしょ?」
それでもナツはそう言って、俺の手を押しのけようとする。
「今日はあるよ。一昨日給料日だったから」
俺は言い返して、手をどかさなかった。
「でも家賃とか払ったりしたらすぐなくなるって言ってたじゃない。気持ちはすごい嬉しいから。だから手、離して」
「やだ」
そう言えば、前にそんな話をした。
家賃のこととか、余計なこと言うんじゃなかった。
だからナツは俺がいつも金がないとか思ってるんだ。