ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~


「あ、それ持つよ。晩飯の材料?」


 ナツの手には、スーパーの袋があった。

 俺はそれをナツの手から取った。


「あ、ありがとう」


「いいよっ。今日は何?」

 俺は、袋の中身を見てみる。

 ニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ……


「今日はカレーにしようと思って」


 あ、そうか。カレーの材料だ。


「やった! 俺、ナツのカレー好きなんだ」


「そう。よかった」

 ナツの笑顔に、俺はメロメロだった。


「じゃ、行こ!」


 マンションまであと二、三分の距離だったけど、俺達は手を繋いで帰った。


 こうやって、ナツと歩く時に手を繋ぐのは当たり前になっていた。

 たったそれだけのことでも、俺は幸せだった。





「もうっ……やっぱり。何よ、これ」


 部屋に上がると同時に、ナツが言った。



「ん~……自然現象かなぁ」


「どこが自然なのよ! 旬しかいないでしょ!」



 部屋に来てすぐにナツに怒られる。


 でも、嫌ではない。

 いや別にMなわけではないけど。(むしろSだし)


 だって、怒ってるナツも可愛いから。怒ってるとこが可愛いなんて、そういないぞ。


「もー旬! もうちょっとちゃんとしてよね!」


 そうやって言いながらも、ナツはいつも片付けをしてくれる。


 ナツは可愛い俺の若奥さん。



「しゅーんー! 見てないでちょっとは手伝って!」


 俺もちょっと手伝って(ていうか俺の部屋だけど)掃除をした。

< 133 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop