ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

 行っちゃったかぁ……

 起こしてもよかったのに……


 メモを見ながら俺は少し凹んだ。


 ナツは朝起きるのがいつも俺より早い。だから泊まりの翌朝はいつも俺より早く起きて、ご飯を作ってくれている。

 本当の奥さんみたいに……


 それは十分嬉しいけど、朝一番にナツの顔見たいっていう気持ちもあるわけで……泊まりなら尚更……


 なんか本当に贅沢になってるな、俺……


 ナツにそんなにたくさんのこと、求めてるつもりはないのになぁ……



 今日のバイトは昼からだけど、俺はもう起きることにした。


 ベッドから降りて、服を出そうと収納ケースをあさる。


「……ん?」


 ケースの奥に赤い何かを見つけた。

 明らかに服ではないだろうという、光沢がある。


 俺はそれを引っ張り出してみた。


「あれ?」


 出てきたのは、赤いジャケットの、洋楽のCDだった。

 しかも、俺のじゃない。


 これは確か……田中の……


 田中は、同じ高校の奴で、高三の時に同じクラスだった。このCDもその時に借りた。


 俺、返してなかったのか……? 引っ越しの時にも出てこなかったのに……何で今更?


 まあそれはいいや。


 見つかったから返した方がいいか。


 俺は、携帯を開いて、田中にメールを送った。




 約十分後、田中からメールが返ってきた。


『ないと思ったらやっぱりお前か。
早く返せよな』


 そんな内容だった。


『じゃあ今から俺んち来る?』


 俺は、そうやってメールを返した。


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