ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
「なるほど! いいな、それ!」
俺は雑誌で口紅を見てみる。
色んな種類があるんだな……
口紅一本でこんなにあるということを、俺は初めて知った。
あ、これナツが持ってたのと似てる。ていうか、多分これだ。
見覚えがあるのを見つけて、俺はそれの横の文字を読む。なになに……
『色んなシチュエーションで使えるカラーが揃ったナントカ(多分ブランド名。ブランド名が英語だから読めない)は、超人気。特に一番人気のローズピンクはお店で売り切れのことが多いんだとか』
……へぇー……そうなんだ。
あ、値段も書いてある。
「え!?」
俺はそれを見て、目が飛び出すかと思った。
「く……口紅ってこんなに高いもんなの!?」
ナツが持っていた、俺が今朝折ってしまった口紅の値段は、三千五百円もした。
「……ああ、これ? でも、こんなもんだよ。ブランドでも安いのだと千円しないのもあるけど。でもいいやつは大体それぐらいしちゃうかなー」
なるちゃんがそう教えてくれた。
……知らなかった。
だって口紅って消耗品だろ? それに百均でも売ってるの見たことあるし、絶対こんなにはしないと思ってた。
こんなに高いのを、俺は折っちゃったんだ。
「はぁ……」
「ほら、元気出して! 選ぶんでしょっ」
あ、そうだった。落ち込んでる場合じゃない。なるちゃんに励まされて俺は雑誌に目を戻す。
「これ、彼女が持ってるのと同じなんだ」
俺はそれを指さしてなるちゃんに言った。
「あ、そうなんだ。じゃあ、これにするの?」
「……うーん」
俺は雑誌を置いて悩んだ。