ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
「何に悩んでるの?」
「いやさ、俺、実は彼女にちゃんとしたプレゼントするのって初めてだからさ」
「え? そうなの?」
なるちゃんは驚いた顔で俺を見る。
「今まで誕生日プレゼントとかどうしてたの?」
「その時は……俺が金ないの彼女も知ってるから……『旬が祝ってくれるんならプレゼントなんかなくても嬉しいよ』って言われて、逆にプレゼントはいらないみたいな雰囲気でさ。でも、何もあげないわけにはいかないから、ここのケーキ、店長にちょっと安くしてもらって買ったのをあげたんだ。それで十分喜んでくれたから」
それ以来、イベント事の俺からのプレゼントは、いつもケーキになってしまった。しかも、ホールは流石に高いからカットされたやつ。
でもまぁ、うちのケーキは結構評判いいし、選ぶのも考えて季節限定物とか、新商品とかにしてるから、ナツは喜んでくれるけど。
「だからさ、初めてのちゃんとしたプレゼントだから、もうちょっと選びたいっていうか……」
「そっかぁ」
確かに、俺が折ったのと同じのを選んだ方が、ナツの好みにはずれることはないだろうけど……でもそうすると、ただの弁償だし、プレゼントっぽくない。
せめてもうちょっと考えてから決めないと。
「……でも、どれがいいかってイマイチわかんないんだよなー……」
問題はそこだ。
化粧品のことなんて全く分からない俺には、なるちゃんが貸してくれた雑誌のものはどこがどう違うのか、違いが分からない。
「うーん……でも、それに載ってるやつは全部モノはいいよ。あとは好みの問題だから、沖田君が彼女さんに合うと思ったやつでいいんじゃない?」
なるちゃんも雑誌を覗きながら考えてくれている。
ナツに合いそうなやつか。簡単なようで難しいな……
ていうか、これって、俺のセンスが試されるんじゃ……あと、俺がどんだけナツのことを分かってるか……
ナツの好みを知ってるかどうかはまだ自信なくはないけど……それで選んだやつがナツの好みじゃなかったらマジでショックだし……
そう考えるとプレッシャーだ……
俺は、間違いのないように、一つずつじっくりと見る。