ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~


「旬、今からどこのバイト?」


「居酒屋だよ」

 聞いてきたナツに俺は答える。


「……居酒屋って、あの?」

 ナツの表情がちょっと微妙なものになった。


「そう。あの」

 ナツが考えたことはすぐに分かったから、俺は思わず笑った。


 ナツが思い出してるのは、きっと俺達が出会った時のことだ。


「まだ続けてたの?」


「うん。あそこ時給わりといいし。店長も気前いいし。あ、ナツのこと今度連れてこいって言ってたよ。ナツ、全然行ってないんでしょ」


 俺がバイトの時は勿論、それ以外でもナツは全然店に顔を出してない。

 俺は知らなかったけど、店にわりとしょっちゅう店に来ていたらしい。なのにあれ以来来なくなったって、店長が言ってた。


「当たり前でしょ! 恥ずかしくて行けるわけないじゃない!」

 ナツは少し顔を赤くしていた。そしてすぐに真顔に戻って、


「ていうか、店長、あたしたちのこと知ってるの?」


「うん。だって俺、言ったし」


「もー……言わなくていいのに」

 そう言ってまた顔を赤くした。


 コロコロ表情変わって……本当に可愛いなあ……

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