ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

「別に……今思ったから、何となく……だって普通引くでしょ? 酔っ払いの女とか。ていうか、旬がホテルに誘ったのって下心?」


 ……ちょっと痛いところを突かれた。


「ん~……まぁ、ぶっちゃけ?」

 ここで否定するのも白々しい気がしたから、俺は本当のことを答えた。

「だって、目の前でオッパイのおっきいお姉さんが『帰りたくない』っていうもんだからさ? それでちょっと、まぁ……うん」


 これってフォローになってんのか? なってねぇよな、多分。つうか、むしろ墓穴?


 こんな言い方したら、俺、ただのおっぱい好きの軽いヤツみたいだ。(おっぱい好きはそうだけど)


「でもさ、俺、それがナツでよかったと思ってんだ」


 たしかにきっかけはし下心だったけど、今ではそう思っているのは確かだ。


「え……」


「ナツのこと、知れば知るほど好きになるから。こういうの、ナツが初めてなんだ」


 今まで俺が付き合ってきた彼女のことも、付き合っている時は本気で好きだったし、他の誰よりも大好きだと思っていた。


 でもその大きさは、ずっと変わらないままで俺はそれが普通だと思っていたけど、ナツとは違う。


「……そんな恥ずかしいこと言わないで」

 ナツは落ち着いた声で言った。


「うん。自分で言ってちょっと恥ずかった」

 流石の俺も、こんなこと言ったのは初めてで、言ってみると照れ臭いもんなんだなと思った。


「ねぇ、旬。十四日のことだけど……」

 いきなりナツが話を変えた。


「うん、何?」


「……旬がうちに来るなら、泊まりでもいいよ」


 あまりにいきなりで、一瞬ナツが何を言ったのか、分からなかった。

< 160 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop