ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
「別に……今思ったから、何となく……だって普通引くでしょ? 酔っ払いの女とか。ていうか、旬がホテルに誘ったのって下心?」
……ちょっと痛いところを突かれた。
「ん~……まぁ、ぶっちゃけ?」
ここで否定するのも白々しい気がしたから、俺は本当のことを答えた。
「だって、目の前でオッパイのおっきいお姉さんが『帰りたくない』っていうもんだからさ? それでちょっと、まぁ……うん」
これってフォローになってんのか? なってねぇよな、多分。つうか、むしろ墓穴?
こんな言い方したら、俺、ただのおっぱい好きの軽いヤツみたいだ。(おっぱい好きはそうだけど)
「でもさ、俺、それがナツでよかったと思ってんだ」
たしかにきっかけはし下心だったけど、今ではそう思っているのは確かだ。
「え……」
「ナツのこと、知れば知るほど好きになるから。こういうの、ナツが初めてなんだ」
今まで俺が付き合ってきた彼女のことも、付き合っている時は本気で好きだったし、他の誰よりも大好きだと思っていた。
でもその大きさは、ずっと変わらないままで俺はそれが普通だと思っていたけど、ナツとは違う。
「……そんな恥ずかしいこと言わないで」
ナツは落ち着いた声で言った。
「うん。自分で言ってちょっと恥ずかった」
流石の俺も、こんなこと言ったのは初めてで、言ってみると照れ臭いもんなんだなと思った。
「ねぇ、旬。十四日のことだけど……」
いきなりナツが話を変えた。
「うん、何?」
「……旬がうちに来るなら、泊まりでもいいよ」
あまりにいきなりで、一瞬ナツが何を言ったのか、分からなかった。