ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
プレゼント
カフェを後にして、俺はデパートに来た。
案内版を見て、目的地を探す。
あ、あった。四階か。
俺はそれを見つけると、エレベーターで四階へと向かった。
店長は、給料を二万円前貸ししてくれた。十分すぎるぐらいに貰えてよかった。給料日前日だったから、金なんてなかった。
ナツに渡したいものを買うための……
ポーン
『四階です』
機械のアナウンスが聞こえて、エレベーターの扉が開く。俺はそこで降りた。そこで一緒に降りる人はみんな女の人だった。
そりゃそうだ。ここは、化粧品売り場だから。
そこに出てみて、俺は緊張した。女の人だらけで、雰囲気が……こう、男が入りにくい感じだし……ていうか、こんなとこに男一人じゃ浮くよな。
いやダメだ。こんな雰囲気だけでビビッてたら何にもなんねぇじゃん。堂々としてたら大丈夫だって!
心の中で葛藤を繰り返して、俺はその空間に足を踏み入れた。
でも、足を踏み入れたはいいものの、俺には右も左も分からない。
雑誌の切り抜きだけを持っていても、それがどこにあるか分からないし、こういうのってどういう風に店においてあるのかも分からない。
俺にはまるで迷路だった。
「何かお探しですか?」
後ろから声をかけられた。振り向くと、店員のお姉さんが営業スマイルを浮かべてそこに立っていた。
「あ……あの、口紅……なんですけど。えーっと、これ……これです」
俺は何となく怯えながら答えて、店員のお姉さんに切り抜きの口紅を見せた。
「これでしたら、こちらになります」
店員のお姉さんはすぐに分かったらしく、俺を案内してくれた。
何だ。最初から店員さんに聞けばよかった。