ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

「ナツ……」

 俺は片方の手で、ナツの頭を撫でた。


「前にも言ったかもだけど、俺は……ナツだから、好きなんだよ。もし他に、ナツみたいにおっぱいでかい人がいても、家事全般ができるような人がいても、それがナツじゃないなら、絶対好きになんかならないよ」

 これが、俺のそのまんまの気持ちだ。

 俺が好きなのはナツだけで、ナツのまるごとが大好きで、ナツだからこそこんな気持ちになる。


 ナツのほっぺたが俺のとくっついた。その感触も、すごく好きだ。


「ナツ……大好きだよ。俺はナツの全部が好き。ぎゅってすると柔らかくていい匂いがして、しっかり者で優しくて、たまに怒ったり、照れたり、笑ったり……今初めて見たけど、泣いてるとこも。ナツの全部は、俺の中の一部なんだ。……だから、俺はナツがいないとダメなんだ」

 今回のことで、それをはっきりと思い知った。ナツは俺にとって必要な人なんだ。

 ナツがいないと、俺は心から笑うとこができないから。


 幸せになんて、なれないから。


「旬……あたしも」

 その言葉と同時に、ナツの腕にまた力が入った。


「あたしも……旬のこと、大好きだよ……大好きだからね…!」

 はっきりと、ナツが言った。初めてだった。


「旬は……だらしなくて、いっつも部屋行くと汚いし、Hなことばっかしてくるし……本当は、あたしの理想とは全く違うけど……」


 え、そうなの? 思わずそう言いそうになった。


「でも……それでも旬だからっ……旬だから好きだよ! 旬じゃなかったら、一緒に居たいって……離れたくないって、思わないからっ……」


 ナツは、初めてちゃんと伝えてくれた。俺は、ナツの気持ちを、初めてちゃんとした形で聞いた。

 それは、どんな告白の台詞よりも、甘くて、優しくて、幸せな言葉だった。


「よかった……」

 俺はナツのことを抱きしめ返した。


「よかった……ナツが、俺のこと嫌いじゃなくて……」


 本当によかった。ナツの、本当の気持ちも聞けて……


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