ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
「……っく……旬……」
俺の腕の中で、またナツが泣き始めた。
「えっ……!? 何でそこで泣くの!?」
何でまたこのタイミングで……俺、特に何も言ってないのに……
「ナツ~、泣きやめ~?」
俺は、腕を緩めて、両手でナツの顔を挟んだ。
俺がナツのほっぺたを撫でても、ナツは下を向いたまま泣いている。
「ナツ。俺、ナツは笑ってる時の方が好きだよ?だから、笑って?」
俺はちょっと無理矢理ナツの顔を上げた。
ナツは、目を真っ赤にしていて、その周りの化粧が落ちて、黒くなっていた。
「……やっぱ泣いてるとこもめちゃくちゃ可愛い」
思わず笑いながら言ってしまった。
でも本当のことだ。ナツは泣き顔まで可愛い。
そしたら、ナツが吹き出した。
「もうっ……何言ってんの」
ナツはいつも通りにそう言った。
「あ、やっぱナツはそうじゃないとな」
まだ少し泣いていたけど、でも、ちゃんといつも通りのナツに戻ってる。
「メイク、落とさないと」
指で目元を擦って、ナツが言った。
そして俺の腕の中から抜けていって、俺に背中を向けて、ティッシュで拭いている。
これで、もう今まで通り。いや、今までよりナツとのラブラブ度が増したかな?
そう思って気を抜いた瞬間だった。
ぐるきゅるるぅ~~……
いきなり俺の腹が主張を始めた。
俺は慌てて腹を押さえた。
ナツが俺の方を振り返る。
「ハハッ……そう言えば俺、まだ晩飯食べてなかった。気が抜けたらつい鳴っちまった」
そう言って誤魔化そうとしたものの、物凄く恥ずかしかった。
何でこのタイミングで鳴るんだよ、俺の腹……
ナツにも少し笑われてしまった。