ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
「あっ……」
色々考えてるうちに、やっと時間が過ぎてくれたらしい。
会社の中に、歩いているナツを見付けた。
ナツは、早足で歩いて出入り口に向かっている。俺もそれに合わせて、ガードレールから離れて、ビルに近寄った。
「ナツ!」
ナツが出てきたと同時に俺はナツを呼んだ。
ナツは、すぐに反応して俺の方に向いた。
「仕事お疲れ!」
「あ…うん」
ナツの目の前に立ってそう言った俺に対して、ナツは少し緊張した表情だ。
「あ、そうだ。はい。ケータイ」
俺はGパンのポケットからナツのケータイを出して、ナツに差し出した。
「あ、ありがとう」
ナツはケータイを受け取る。
「何か、ごめんね? わざわざ来て貰っちゃって……」
ナツは俺の顔を見上げてそう言った。
その顔が可愛くて、俺はときめいた。
「ううん! 全然! 言ったろ? 俺、暇だから」
思わず興奮して、声が強くなってしまう。
「それより、ナツ。今日はもう帰るの?」
「うん。そうだけど……」
「じゃあ、送ってくよ」
「えっ……そんな…いいよっ! わざわざここまで来て貰ってるのに、そこまで……」
ナツは首と手を横に振って断ってきた。
軽くショックを受けた。
一応、付き合い始めたはずなのに、やっぱり、ナツはちょっと遠慮ぎみな感じだ。
それでも、ここで引いたら負けだ。
「送るよ。もう暗いんだから女の人は危ないし。…ていうか、俺が送りたいだけだけどさ」
俺は気持ちだけほんの少し強めにそう言った。
「…………じゃあ……うん。お願いしよう……かな」
ナツは、急に下を向いて、小さくそう答えた。
よし!と、俺は心の中でガッツポーズをした。