ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
「そう……」
でもやっぱり、それぐらいのことでナツの俺に対するイメージが変わるわけもない。
「ナツは?」
俺は、気にしないように話を進めた。
「え?」
「ナツはいくつなの?」
女の人にこんなことを聞くのは失礼かとも思ったけど、彼女の年を知らないままでいるわけにもいかないと思ってそう聞いた。
「あたしは…今、二十二」
少し声が小さかったけど、ちゃんと聞こえた。
今二十二ってことは、俺と四つ差か。
うん、全然オッケー。俺的には全然いける。ナツなら俺のいくつ上だろうが下だろうが関係ない。
愛さえあればそんなん関係ない!
「でもナツってすげーよなぁ。○○社っていったら結構有名じゃん。そんなとこで働いてるとかビックリした」
俺は、色々話したいことがたくさんあるから、思いついた順に話す。
「ううん。そんな、すごいって言えるほどのことはないよ。○○って、すごいのは本社だけだから。うちの会社は支社だし……それにあたしだって事務の仕事だから雑用ばっかで全然大したことないの」
ナツは大したことないって言うけど、俺からしてみれば十分すごいと思う。
一流だろうが二流だろうが、ちゃんと就職して稼ぐなんて、今の世の中じゃ難しいんじゃないか。
それに、よく見たらナツって服とか、鞄とか……キレイなもんばっかだし……わりと稼いでるんじゃないか?
ホテル代とかすっと二万も出せるぐらいなんだし――
「あっ!」
そこまで考えて、俺は重要なことを思い出す。
「どうしたの?」
いきなり俺が叫んだから、ナツは驚いた顔をしている。
「こんなとこで悪いけど、俺、ナツに金返そうと思ってたんだ」
「お金……?」
ナツは首を傾げる。
「ナツ、今朝二万も置いてっただろ? 俺、半分出したから、その残り」
俺はGパンのポケットから財布を出した。
「あ…ああ……」
ナツは思い出したように頷く。
「はい」
「ありがとう」
俺が渡した一万数千円を受け取ると、ナツは鞄から財布を取り出して、金をしまった。