ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
『俺が会いに行きたいんだ』
頭の中でリピートし、顔が熱くなるのを感じた。
「だめ?」
「そういうわけじゃ……」
思わずそう言っていた。
「じゃあ、いい?」
「う……うん」
頷いてしまった。
というか、この状況もまた、朝と同じように頷くしかできない。
「やった! んじゃどこ行けばいい?」
あたしが頷いただけで、シュン君は朝のように喜んでいる。
「えっと…会社は○○ってとこ。××町のところなんだけど分かる?」
あたしは自分が分からない。どうしてこうまで流されまくりなのか……
「うん。分かった! 何時頃終わる?」
「五時ぐらい……」
「オッケー! んじゃ会社の前で待ってるな!」
「うん」
ふと食堂の時計を見ると、もうすぐ昼休みが終わる頃だった。
「……あ、そろそろ戻らないと」
「あ……そっか……じゃあ、仕事頑張って。また後でな」
「うん。また……」
電話を切ってあたしはしばらく画面を見つめたままでいた。
本当に、何て偶然なんだろう。
まさか、もう二度と会うことはないだろうっていう状況で、こんなふうに同じ人間に繋がるとは思わなかった。
…そう言えば、あたし今カオルの携帯からかけたのに、何であたしだって分かったんだろ……