ダメ男依存症候群 ～俺は彼女に中毒症状～

　そしてあたし達は、並んで歩き始めた。


「あ、そうだ。ナツのケータイに俺の番号とメアド入れておいたから」

　先に話し出したのはシュン君の方で、そんな内容のことだった。


「え……あ……そう」

　さらっと言った彼に、あたしは呆気にとられた。


　入れといたって……どんだけ勝手なことしてんの、この人。

　て、直接は言えないけど……


「ナツって名字柏原っていうんだな。昨日は下の名前しか聞いてなかったから今日初めて知った」

　シュン君は、笑顔で楽しそうに話している。


　そう言えば……


「……うん。ねぇ…あの、シュン君？」

　あたしが、ちょっとシュン君の方を向いて声をかけると


「なに！？　なになになにー？」

　シュン君が何故か勢いよく反応してきて少し驚いた。


「あの、あたしは……シュン君の名字知らないんだけど」


　もしかしたら昨日聞いていたのかもしれないのに、こんな聞き方はすごく失礼なのかもだけど、知らないのだから、結局こう聞くしかなかった。


「オキタだよ。オキタシュン」

　シュン君はすぐに笑ってそう答えてくれた。


「オキタ、シュン君……？」

　この期に及んで聞き間違いとかがあったら怖いから、あたしは確認のために繰り返した。


「うん！」

　シュン君は元気よく頷いた。


　なんか、幼稚園児でも相手してるような気分になってきた。

　ちょっと、シュン君って思ったより幼そうな感じかも。


「ねぇ…旬君って、年いくつなの？」

　思い切って聞いてみた。


　居酒屋に結構遅くまでいたし……多分二十歳は越えてるよね？


「俺、十八だよ」

　シュン君はまたすごく可愛らしく笑いながら、そう答えた。


　十八……十八……！？