ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
俺が考えていることをよそに、ふとナツを見ると、ナツの顔は目の前のGパンとは違うところに向いていた。
「ナツ、どしたの? 何かあんの?」
あんまりじっと見てるから、俺は声をかけてみる。
「うん。ダウンが安くなってるなーって思って」
ナツの見ていた方向には、ダウンジャケットの棚があった。ナツの言う通り、セールで三割引になっている。
「時期的に冬物は安くなるけど、まだ寒いからしばらくは着れるし、今買った方が得なのよね」
ナツはまるで独り言のようにそう言った。
そうか、そうだよな。と、俺は納得した。
今までそんな意識してなかったけど、確かにダウンとかジャケットとか、高いのは安くなってから買う方が得だよな。どうせ来年も着るんだし。
「買おっかな……」
俺は、引き寄せられるようにダウンのとこに行った。
「買うの?」
ナツも俺の後ろからついてくる。
「うん。これ、もう袖とかボロボロだし、そろそろ替えよっかと思って。ちょうど安いし」
今着てるカーキのダウンは、去年買ったやつだけど、俺の着方が悪いのか、袖はボロボロだし内側に穴が開いてたりしてる。
普段の俺なら、別に気にしないで結構平気で着てたりするけど、何でか今日は、急に欲しくなった。
多分、ナツが言ったからだ。
「じゃあ、どれにするの?」
嬉しいことに、ナツが率先して見てくれている。
「どうしよっかなー」