ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~


 結局、俺のダウンだけを買って、店を出た。

 すると丁度よく腹が減ってきた。


「ナツ、どっか飯食いに行かない? 俺、腹減った」


「そうね。もうお昼時だし」

 ナツは店の中の時計を見ながら頷いた。


「どこ行く? 何か食べたいのある?」


「何でもいいよ。この辺って何があるの? あたし、あんまりご飯食べには来たことないから」


「色々あるよ。歩きながら探す?」


「うん」

 ナツが頷いて、俺達は歩き出した。


 あ~…マジでいいなぁ、こういうの……


 ただ並んで喋りながら歩くということだけが、特別に感じた。


 この雰囲気だったら、ナツも俺のこと、彼氏だって思ってくれてるって思っていいのかな……


 俺にはそれが不安だった。


 よく考えたら(考えなくてもだけど)告ったのは俺からで、好きになったのも俺からだ。これまでの展開だと、ナツが俺のこと好きになってくれてるとは思えない。ていうか、好きじゃないと思う。

 一応付き合うことになったのは、俺が無理矢理なことを言ったからで、ナツの意志じゃない。


 でも、もし俺のことが嫌なら、とっくに拒否られてるよな?休みの日にわざわざデートしてくれないよな?


 それに……



『旬が…あたしの彼氏だったらよかったのになぁ……』



 俺にはあの時のあの言葉がある。

 いくらナツが酔ってた時の言葉でも、ナツが覚えてなくても、ああやって言ってくれたということは、俺のことを好きになってくれる見込みがあるってことだ(と思う)。


 まだまだ先は長い。ゆっくりでも、頑張ろ。


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