ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~
俺は一人で気合いを入れた後、昼飯の場所を探す。
そこで目に入ったのは、入り口に美味しそうなケーキの写真の看板が立てかけてある店だった。
ケーキバイキングの店らしい。
行きてえ……
甘いもんが好物な俺はその看板に釘付けになる。
いや、でも今探してるのは昼飯の店だし。流石にケーキはちょっと、な。それに、男の方から誘うのも…引かれたら困るし……
ああ、でもしばらく行ってねえからなぁ。
俺は心の中で葛藤した。
店の前を通る時も、視線は釘付けのままで、通り過ぎたあとも、なかなか離れない。
我慢だ、俺! 耐えるんだ!
「旬君」
ナツに話しかけられて、俺は我に返った。
「なっ何?」
やっと店から目をそらしてナツを見た。
「もしかして、そこがいいの?」
ナツはそう言って店を指差した。俺が見ていたケーキバイキングの店……
「え、何で?」
内心ドキドキしながら、聞き返してみる。
「だって……すごい見てたから。甘いもの好きなの?」
「うん……まぁ」
聞かれると、答えるのが恥ずかしかった。
店をずっと見てたのを見られてたのも、少し恥ずかしかった。
本当に、引かれたらどうしよう。昔付き合っていた彼女に、引かれたことあるから怖かった。
「じゃあ、行く?」
ナツから出たのは、予想外の言葉だった。
「え……」
俺は驚いて、すごい間抜けな顔になっていたと思う。
「お昼、ここにしようか」
ナツはさっきとは違う言葉で、同じことを言った。
「いいの? てか、昼飯だし、ケーキは……」
内心は物凄く嬉しかったけど、俺は何でかそんなことを言っていた。
「いいよ。ここってケーキだけじゃなくて軽食も置いてるし。それにあたしもちょっと甘いもの食べたいから」
「いいの……?」
「うん」
ナツは笑って頷いてくれた。
やったーーーーー!!!
嬉しかった。本当にもう嬉しかった。